転移癌患者は根治治療が望めない2012年10月20日 00:00

その後、長年オーバルの産業医を務めて頂いていた望月昭医師に、根治治療がなされていない状況をご心配して頂き、根治が望める治療方法として、がんに対して高い治療効果が認められている重粒子線による最先端の放射線治療と、それを主導する機関である独立行政法人放射線医学総合研究所、重粒子医科学センターのご案内を頂きました。
直ぐに重粒子医科学センターに出向いて相談してみようと、電話をしましたが、転移癌患者には適用が出来ないとのことでした。
従来の放射線治療を行っている機関にもコンタクトしてみましたが、全て同様の基準で対応は不可能との事でした。
今までに調べた範囲では、根治治療を選択する事は出来ない様です。
転移癌患者の根治方法をご存じの方がいらっしゃいましたら、情報を頂けたら幸いです。

私の治療方針2012年09月18日 12:00

日本人には少なかった前立腺癌患者数が最近になって急増している様で、文献も多い。
文献によると、ホルモン療法を続けると癌細胞に耐性が出来てしまい、有効期間は数年、私よりも若干状態の良い患者の例を見ると3年を過ぎて効果が低下し始めてきている様である。個人差はあるが3年から5年の様だ。
耐性が出来てしまうと、後は抗がん剤に頼る事になる。最近になって新しい抗がん剤が承認されているが、余命が3月延びる程度で、前立腺癌の抗がん剤はそれ程効かない。
早く治療が開始されず焦っていたが、早くホルモン療法を開始していても一定期間しか効果が無いのだから進行癌(転移癌)患者の場合はどの時点で開始しても余命期間を大きく左右する事はなかった様だ。
但し、私の様に遠隔転移がある患者の場合で、がんが前立腺内のみにしか発生していない限局がんの患者の場合は耐性が出来る前に切除、放射線治療などで根治は可能である。
限局がんの内に早期発見出来るか否かで寿命が大きく変わる事になる訳で、50歳を過ぎたら定期的な血液検査を受ける事をお勧めしたい。

日本人に患者が増えた原因は欧米型の食生活になって来た事だと言われていて、ホルモン療法の有効期間も日本人の様が長く続くようだ。
そんな事から、掛かった後も食生活が重要と思い、日本食を極力多くしている。

1月後2回目の治療に、前立腺癌の癌細胞の活性度を示す腫瘍マーカーPSAの値は下がって来ていてまた少し安堵した。
前月に提案したことを覚えていたのか否かは定かではないが、今回も元の泌尿器科に戻る事を提案された。
また同様にお願いしてJR病院で治療することにした。

紹介して来た泌尿器科に義理を果たそうとしているのか、これが通例なのかは分からないが、正直なところ不安を覚えた。

その後、長年オーバルの産業医を務めて頂いていた望月昭医師にご心配を頂き、望月昭医師にご紹介をして頂いた落合の山本泌尿器科医院、院長の山本史郎医師の紹介で前立腺癌を専門にされている厚生年金病院の泌尿器科部長、赤倉功一郎をご紹介して頂き、セカンドオピニオンを聞かせて頂き、同医師の下に転院を果た。

その間の経緯については、追って書く予定ですのでまたアクセスして下さい。

退院後の診察2012年08月22日 12:00

10日後の8月13日生検の結果を聞きに主治医のもとに、前立腺内の12箇所から採取した検体のすべてで癌が検出されたと告げられた。想像はしていたものの駄目押しを打たれた感のショックを受けた。
治療が開始されるものと思っていたが、まだ検査が、
8月21日に、
①骨への転移状況を検査する(※3)骨シンチグラフィー検査
②臓器への転移を確認する為の(※4)CT(Computed Tomography)
以上を受検した。
翌日の8月22日の受診で、検査の結果を聞いた。予測通り腰骨に大きく転移されていることが確認された。
救われたことは、リンパ節、腎臓、肝臓には転移が認められなかったこと。

この日から漸く治療が始まる。
治療は、転移癌患者には手術による局部切除、放射線治療は、既に手遅れとのことで、選択肢はなくホルモン療法のみとのこと。
前立腺がんが男性ホルモンを糧に増殖する性質がある為、精巣(睾丸)と副腎から分泌される男性ホルモンを注射と飲み薬でブロックする“ホルモン療法(内分泌療法とも言う)”、この治療法しか選択肢がないとのこと。
それなら、何故もっと早く開始しないのだとの思いがしたが、この日から治療が開始されたことにそれなりの安堵感を得た。

今後の治療の見通し、余命について質問したが、医師からはこの治療は効くから大丈夫の一言で、がんの状況、治療に関してそれ以上の説明を受けることはなく、
医師からは、全国何処で治療しても治療の内容は変わらないとの理由で、元の泌尿器科に戻る事を提案された。
取り敢えず治療が開始されたばかりで不安がある事を理由にこのままこの病院で治療を継続して頂く事をお願いした。

※後日、セカンドオピニオンを受けて、転院する事になるがその手続きの中でがんの悪性度を示す指標であるグリソンスコアーが8とかなり高悪性であると知った。
グリソンスコアーとは、生検で採取したがん組織の分析結果により1から10の9段階にランク付けされてがんの悪性度を表す指標として使用されている値で、治療方針を決定するために重要な指標。6以下は悪性度が低く、7が中間、8以上は悪性度が高いとされている。

※3.骨シンチグラフィー検査:テクネチウム (99mTc) というラジオアイソトープを含んだ薬剤を注射して行う核医学検査で、骨腫瘍があるとその部分の骨の代謝や反応が盛んになります。注射した薬剤が骨の代謝や反応が盛んなところに集まる性質があることを利用して、骨腫瘍や骨の炎症、骨折の有無などを調べる検査。
 この検査は乳癌、肺癌、前立腺癌など治療前・治療後の経過確認するのにきわめて有効で、X線検査よりも早期に発見する事が出来、また、疲労骨折や骨粗鬆症に伴う骨折の診断においても大変役立との事です。
※4.CT(Computed Tomography):多数の「断層撮影」によて内臓への転移状況を確認する為の検査。

生検の為、JR東京総合病院に3日間の入院2012年08月03日 12:00

予定通り8月1日入院、ナースステーションから一番遠い6人部屋に、その日に入院の男性と2人で入室した。後で聞いた話であるが、ナースステーションからの距離と生命の危険性が高い順に部屋が選ばれているとのこと、近くに入った時には終わりに近いのだと何とも嫌なことを聞いてしまった気が。
午前中は、外部委託業者と手術後着から箸に至るまでの借用契約、そして午後は、先ず担当看護士が諸々説明に、次に薬剤師が服用薬をチェック、続いて手術室担当看護士が、麻酔科の医師が、各々の説明を了解した旨のサインを、そして最後に主治医の泌尿器科部長が来室。入院日の午後は概ねペーパーワークで終わった。
主治医に明日の生検について聞いてみたが、明日は学生を3人呼んでいて学生が実施するとのこと、痛みは無いので心配不要と、万が一がんが発見されても治療方法が用意されているので心配ないと、告げて部屋を去った。
とは言え、この病院に来る前に前立腺内のみならず腰骨に転移していることが告げられているので、気休めには???と思いつつ翌日の生検を待つ。
入院の翌日、予定の手順に従い部屋で浣腸をして直腸内を消毒した後、手術室担当看護士に付き添われて徒歩で手術室に入る。
麻酔の種類は病院によって、局所麻酔、脊髄麻酔、ガス麻酔等が使用されているようであるが、JR病院では脊髄麻酔であった為、オペレーターの話し声は聞こえるものの痛みは全く無く終えることが出来、痛いのが苦手な私には本当に助かった。
翌日に担当医の診察を終えて退院の予定であったが、主治医は来ず、主治医に会わずに退院か???と思いながらタクシーで帰宅した。

初めての、JR東京総合病院、泌尿器科受診2012年07月23日 10:00

7月23日(月)に、近藤泌尿器科医院の紹介状を持参してJR病院の泌尿器科医を受診。
予約なしの為、午後まで待って主治医となる泌尿器科医師と初めて面会した。
生検を行うための手術室の予約と入院手続きをして帰宅。

前立腺がんの癌告知を受けて2012年07月11日 10:00

以前より頻尿であったものの、その度合いが酷くなって来た事が気になり、2012年7月4日近所の内科医院を受診した。
私が症状を話すと、東中野駅近くの泌尿器科医院を紹介され、直ぐに行く事を勧められた。後で思うに、多分ある程度の疑いを持たれたのだと思った。

近藤泌尿器科医院での診察は、問診の後、触診(尻の穴から指を入れて触る)を受けた。
「固くなっているな」との一言で、癌の話は無く血液採取をしてその日は帰宅。
7月11日に検査結果を聞きに再び受診。
医師は真剣な表情で、前立腺癌、既に骨に転移している可能性が高い事を告げた。
実質的に癌告知を受けた時である。
その時の血液検査の結果は、前立腺癌の腫瘍マーカーである(※1)PSAの値が360、骨に転移していると上昇する(※2)ALPの値が600(正常値範囲300以下)とかなり酷い値であった。
生検(検体を採取しての検査)の必要があるとのことで、手術設備のあるJR病院(新宿)、泌尿器科宛に紹介状を作成して頂く事となった。

私の両親共に癌家系ではなかった事から私の死因が癌になるとは想像したことが無かった。この日も、深刻な結果等を予想する事もなく軽い気持ちで結果を聞きに行っていただけにショックで、深刻な私、平静を装う私が入り混じりながら先生と対話していた。かなり狼狽えていた様に思う。

実はこの翌日より中欧旅行を予定しいて、翌朝一番でJR病院に行き予約を取り付けた上で旅行に行きたいと伝えた。すると先生は、今の時点で1週間や10日の差で如何にかなる性質のものではない、予定通り旅行に行って来なさいとのこと。

妻は止めようかとは言っていたが、妻が楽しみにしていた、しかも定年記念旅行であった事、払い込んだ旅行費用が返還されない事等々が頭の中を渦まき、決断できないままに翌日に前泊する成田のホテルに向けて出発した。
出発はしたものの、食事は喉を通らず、その夜は殆ど眠れずで翌朝空港へ移動した。
空路でも、旅先に着いてからも同様で、3日目まで朝食のフルーツを少し食べた程度で同様な状態が続いていた。
3日目に入って、バスの長距離移動中に何時の間にか眠りに、多分限界だったのだろう。
この眠りを機に、今何を考えてもどうにもならないと旅行を楽しもうという気になって来た。旅行3日目にして漸く少し楽になれた気がした。
この旅行に行っていなかったら、どうしようもない期間が続いていたに違いない。
後に、1月程度の遅れで何ら影響するものでは無い事が分かり、楽しい時間を過ごせた事も、私にとても、妻にとっても大変なタイミングで思い出が作れたので旅行に行って本当に良かった。
帰国して直ぐの7月23日(月)にJR病院泌尿器科医を受診。

※1. PSA(Prostate Specific antigen=前立腺特異抗原):前立腺がんの腫瘍マーカーとして使用されている値で、前立腺癌に掛かると血清中の濃度が上昇するたんぱく質分解酵素の一種。4以上でがんの疑い高いとされているが、最近では2.5に下げる事が検討されている様である。
※2.ALP(alkaline phosphatase=アルカリホスファターゼ):主に胆道から出る逸脱酵素の一種。胆石や胆道がん、胆道性の肝硬変、乳頭部がんなど、胆道の病気の時に値が上がりますが、ALPは、骨にも小腸にも少しあり、がんが骨に転移した場合にも値が高度に上昇するので、骨転移の検査にも使われる様です。